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遺言書の検認とは?内容と注意すべきポイント

終活ラボ編集部

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人が亡くなった後に遺言書が見つかったら、家庭裁判所での「検認」を受けなければならないということは、意外と知られていないかもしれません。

遺言書は、法的な手続きなしに勝手に開封することはできません。

いざ、遺言書を検認する必要が出てきた場合でも

「誰が手続きをする必要があるのか?」
「費用はいくら必要なのだろう?」
「どれくらいの期間がかかるもの?」

など、様々な疑問が浮かんでくることもあるかと思います。

この記事では、遺言書の検認について、必要な手順や押さえておくべきポイントを解説していきますので、詳しく見ていきましょう。

遺言書の検認とは

疑問

遺言書の検認とは、遺言書が存在することが確認された後、その旨を相続人に知らせるのとともに、遺言書を開封して内容を明確にするために、家庭裁判所で行う法的な手続きのことです。

たとえ、相続人が全員そろっているような場で同意があったとしても、検認をせずに遺言書を開封することはできません。

遺言書の発見後は、遅延なく速やかに家庭裁判所に提出し、検認を受ける必要があるのです。

検認の手続きを経ることで、遺言書の偽造を防止することにもなります。

検認をしなかった場合

検認をせずに遺言書を開封した場合、その内容が失効してしまうことにはならないものの、5万円以下の過料、すなわち罰金が科せられる可能性があります。

第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

引用元:e-Gov法令検索

不動産や銀行での名義変更手続きにおいても、遺言書が検認済である証明書が必要になりますので、くれぐれも注意が必要です。

公正証書遺言には検認は不要

公正証書

検認が必要なのは、遺言書が「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」である場合です。

公証人を立てて作成された「公正証書遺言」の場合は、偽造の入る余地がないと判断され、検認をする必要はありません。

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申立て手続き

裁判所

それでは裁判所への申立てについて、必要事項と注意すべきポイントを見てみましょう。

申立する必要があるのは保管者か発見した相続人

検認の申立ては、遺言書を保管している人、もしくは遺言書を発見した相続人が行う必要があります。

遺言者最後の住所地管轄の家庭裁判所へ申立て

申立先となる家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地を管轄している家庭裁判所である必要がありますので、裁判所のホームページで、管轄の範囲を確認しておいた方がよいでしょう。

かかる費用は収入印紙代と郵便切手代

必要な費用は、遺言書1通につき収入印紙代800円です。

また、裁判所からの文書連絡をもらうのに郵便切手が別途必要になります。

そのほか、相続の手続きを執り行う際に必要な検認証明書を取得するには、収入印紙代150円がかかります。

必要な書類は2種類

ケースにより必要な書類は異なってきますが、主なものでは以下の2種類となります。

・検認申立書(家事審判申立書)
家庭裁判所の窓口で取得するか、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。

・戸籍謄本
遺言者の出生から死亡までのすべてが載った戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本が必要です。

ただし、法定相続情報一覧図のコピーを提出することで、登記簿謄本の提出を省略できることもあります。

準備が簡素に済む可能性があるので、裁判所に事前に確認しておいた方がよいでしょう。

申立て後の流れ

それでは、家庭裁判所での申立てが終わった後の流れを見てみましょう。

検認期日の通知

申立て手続きが終わってから、おおよそ1か月以内には、申立人と相続人全員に対して、検認の期日を記した通知書が家庭裁判所から届きます。

検認日には申立人は必ず出席

指定の検認日には、相続人が出席していなくても検認はされますが、申立人は必ず出席しなければなりません。

相続人が欠席することで不利になることはなく、後日検認済通知書の送付をもって結果が通知されることになります。

検認は遺言書の現状確認

検認日当日、申立人は遺言書の原本と印鑑を持って、家庭裁判所に向かいます。

そこで裁判官によって、「記載内容・署名・日付」をはじめ「加除訂正がないか」や「遺言書の形状」などが確認されます。

尚、この段階で「そもそも記載されている内容自体が有効か無効か」の判断はされません。

あくまでも、遺言書の現状確認という意味合いになります。

有効性が疑わしいと考えられる場合は、別途家事調停の申し立てをする必要があります。

検認後は検認済証明書が発行可能

検認が終わると、その当日から検認済証明書の発行を申請することができます。

この証明書をもってようやく、不動産や銀行での名義変更手続きができるようになります。

申立てから検認期日までおよそ2か月

申立てをしてから検認期日を迎え、遺言書の検認を完了するまでの期間は、およそ2か月です。

登記簿謄本などの必要書類を準備するのに時間がかかったりすれば、その分完了の日は先延ばしになりますので注意しましょう。

まとめ

遺言書の作成から相続の完了までには、実に多くのステップが存在します。

当然、遺言者本人で最後まで進めることはできないので、相続人をはじめ、多くの人が携わって遂行されていくため、確認事項も複雑です。

遺言書の検認は、あくまでもその中の一部でしかありませんが、ここでも多くのポイントを押さえておく必要があります。

知らずに遺言書を開封してしまい、相続全体の手続きが滞るばかりか、罰金を科せられたりしてしまうことのないように、スムーズな相続の実現に向けて進めていきましょう。

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